MTE 9 子どもの力を引き出す小児看護の「技」あれこれ
佐藤 奈々子(横浜市立大学附属病院看護部小児看護専門看護師)

外来における子どもの看護では、子どもの健康状態によっては緊急で検査、処置をする必要性が高い状況もあります。また、医療の主体である子どもや保護者との接点や関係形成の機会が限られるという特性もあります。言語だけでは表現することが困難な子どものサインをキャッチしながら「子どもの最善」を目指して協働する外来で、現在、プリパレーションの考え方、援助方法を取り入れた取り組みを継続しています。

子どもが‘声を出す’、‘涙がでる’等の成長発達段階において自然な反応をケアにつなげることを大切にしています。そして、例えば追視をする、玩具に興味をもって手を伸ばす、親や保護者の存在を安全基地として主体性を発揮できる等の力をもつ子どもが、痛い体験や不安をどのように対処したらよいのか、看護師はどのように支えるのかを子どもと保護者に伝えながら子どもの力を引き出します。

このように、様々な状況にある子どもと向き合うケアと協働のなかに小児看護の技(アート)が存在しています。そして、それらの技は、「涙がでることとは別に力を発揮できる」、「(病院に来ることが)いやにならない」等、子どもに効果をもたらしています。「子どもと家族を癒すような技、すなわちケアリングは看護師も癒す(筒井,2004)」ということをスタッフ皆で確信した技などをご紹介いたします。また、子どもと保護者にやさしい医療に貢献することを目指して、医療界とは異なる立場から子どもを支える人々との連携・協働の概要もご報告したいと思います。

秋山典子・佐藤奈々子(2006).小児看護が楽しくなるプリパレーション 小児科外来におけるプリパレーションの導入と発展.小児看護,29(5),609-616.

筒井真優美(2004).小児看護の技の探求.日本小児看護学会誌,13(1),92-100.

【年次集会事務局からのヒトコト】

 講師は2002年に日本で初めて小児専門看護師の資格を得た4人の中の1人です。小児専門看護師は日本ではまだ少数ですが、そのspecialtyは大変に高いものです。小児医療に関わっている看護師の皆様に是非、参加してもらいたいと思います。

 また、子どもの力を引き出す小児看護の「技」を紹介します。実際に「癒しボトル(と我々は病棟や外来で呼んでいます)」の作り方を実演しますので、どうぞお手にとってご覧下さい(実演販売ではありませんのでご安心を)。お土産にどうぞ。

◆9月3日(日) 12:00-14:00(この間でしたらいつでも構いません)
◆第6会場(ラウンジ)