MTE 12 保育環境と成長から考える遊具遊びと遊びの効果
畠山 和人(こども保育環境研究所)

 保育環境を語る上で私たちが常に意識しなければならないのは、全国の保育園や幼稚園、また各家庭での保育環境ではないでしょうか。

 0歳から6歳までの子ども達が成長する環境は、その子どもの発達に大きな影響をあたるにもかかわらず、現在では身体や精神的な発達よりも安全性が優先される傾向にあります。その結果、子ども達は本来一番身体の基本的な発達を促す時期に充分な運動がなされないまま6年間を過ごし、結果として小学生の運動能力の低下が叫ばれている状況です。

 豊かな自然環境の中での自由遊びにはケガ等のリスクは伴いますが、様々な身体を使った運動をする事により身体や精神の発達がバランスよくなされます。しかし現代の社会では、リスクの伴わない平坦な人工的に造られた公園や運動場で遊ぶことが多い傾向にあります。本来ならば自然環境が豊かな森などで遊ぶことが必要ですが、そのような環境になれていない子ども達にそのような環境でいきなり遊びを提供しても遊べるものではありません。そこで遊具などの導入が必要となってきます。身体全体を使って遊ぶ遊具から細かな運動を促すような小形の遊具まで、私たちは遊具の活用を考え、一人一人の子ども達の環境や状況にあった遊具を選ぶことを学ぶ必要があります。

 どのような遊具がどのように精神的な安定を促す効果を促すのか、また身体の発達を促すのか検証してまいりたいと思います。

【年次集会事務局からのヒトコト】

 子どもが野山や路地裏で遊べる時代ではなくなりました。悲しいことです。それでも現代の子どものために、どんな遊びや遊具が必要か、どんな保育環境が望ましいのか、その答えがあります。例えば、待合室での遊具のヒントも得られるでしょう。