教育セミナー 4 わかりやすい夜尿症治療の実際 
帆足 英一(ほあし子どものこころクリニック)

 インターネットによる夜尿症児をもつ保護者に対するアンケート調査結果によると、ほとんどの親が子どもの夜尿を治したいと思いつつも、実際に受診した患者は2割程度に留まっています。受診した診療科の6〜7割が小児科となっていますが、その満足度をみると約6割が不満足と答え、治療を中断してしまう例も少なくありません。また、身近に夜尿の相談や治療に応じてくれる小児科の先生がいないという回答も目立っています。そのような背景と、「夜尿は放っておいてもそのうちに治る」といった誤解もあって、夜尿症患者の受診率は極めて低いのが実情です。

 そのような実態を受けて、本年4月、日本夜尿症学会に所属している小児科専門医17名の協力により、「一般小児科医に向けた夜尿症治療手順の標準化」をまとめました。本セミナーにおいては、それを紹介しつつ、以下の項目を中心に明日からの診療にすぐに役立つ夜尿症治療のノウハウを提供したいと思っています。

 夜尿症治療は、日本夜尿症学会の300名足らずの会員で対応できるものではありません。外来小児科学会の会員こそ、第一線で身近に夜尿症診療に応じることのできる先生であり、是非とも積極的に夜尿症治療に取り組んでいただければ幸いです。

講演要旨 夜尿症の原因
夜尿症は、そのまま「自然に治る」のか
夜尿症の病型分類(多尿型・膀胱型・混合型)
簡単な病型分類の手法
モチベーション(治療意欲)を高める生活指導とは
具体的な生活指導
病型に対応した薬物療法の実際と留意点
デスモプレッシンスプレー10による点鼻療法の実際
薬物療法の終わり方
夜尿アラーム療法と「解離型」夜尿症
夜尿症専門医への紹介は、どの段階で必要とするか