国立がん研究センター・小児腫瘍科の患者さんの外来管理の一部を私たちが協力するプロジェクトについて


東日本外来小児科学研究会 会長 横田俊一郎 事務局 山本淳 プロジェクトメンバー 田中秀朋

※このサイトはスマートフォンでも読みやすくしてあります

小児科クリニックの協力で、小児がんの子どもたちのQOLが、驚くほどあがります

小児がん患者の生存率は、ここ10〜20年で著明に改善し、「治らない」病気から「治せる」病気に変貌しました。小児がんの外来管理の目標は、小児がん経験者が、将来的に結婚、出産などを含めて通常の生活を送り、社会の一員として社会貢献もできるようになることです。例えば以前は重症のぜんそく児が学校にもいけず、何年も施設入院をしていたり、亡くなったりしていたことがありますが、今は外来治療管理技術の向上により、重症ぜんそく児もほとんどいなくなり、ごく普通のクリニックでぜんそくの管理が上手にできるようになりました。小児がんの治療の変化もそれと似ているのかも知れません。小児がんの治療は、もちろん専門病院が果たす役割が大きいのですが、患児はずっと入院し続けるわけではありません。患児のQOLを考えるとき、地域医療の第一線を担うクリニックが協力すれば、小児がんの子どもにとって、私たちも驚くほどプラスになります。ぜひ多くの外来小児科医に関心を持っていただきたいと思い、このページを作りはじめました。

国立がん研究センターの小児腫瘍科の先生から、私たちのような外来小児科医にお願いしたいこと、は、こんなこと・・・だそうです。

小児がんのこどもたちも、先生がたのご協力があれば、普通に生活できるということを知っていただきたいのです。1年間も入院を続ける必要はないのです。喘息の子、アレルギーの子と同じように診ていただければ・・・

例えば、私たちのクリニックがかかわっている小児がんの患者さん(16歳)のライフスタイルを紹介します。

このような治療を繰り返しています。化学療法をしている期間や、たまたま、がんセンターの外来に行く日以外(クリニックの診療日)は、たいていクリニックに来て、G−CSFの注射をしたり、採血をしたりしています。
G−CSFは、白血球を増やす作用はあり、採血はその効果の確認もひとつの目的ですが、化学療法後は赤血球や血小板も減少するので、下がりすぎたときは、成分輸血が望ましいのですが、そのあたりのデータもクリニックから提供することができます。
当院には迅速血球測定器があるので、数分で検査結果がわかり、これはこれで便利ですが、実際に経験してみて、迅速血球測定器の無いクリニック(翌日結果がわかる)でも、対応はできるように思います。
クリニックなので、お子さんの都合に柔軟に合わせて(もちろんこちらの都合もありますが)、G−CSFの注射のスケジュールを組んであげることができます。朝G−CSFを注射して登校とか、部活が終わってからクリニックに来て注射とか、いろいろありますが、お子さんの笑顔をみていると、なんとか都合をつけてあげたくなってしまうものです。
がんセンターの主治医の先生との連絡も、メールでやりとりができるので、こちらも安心してかかわれます。
白血球が3桁(1000未満)でも、結構元気で大丈夫なものです。やっぱり地元がいいんですね!(♪地元に帰ろう〜地元で診よう!)
何より、患児の笑顔がスタッフ全体を含めたクリニックのモチベーションアップにつながっているのを感じます。

ところで、がんセンターの主治医の先生が、このような治療をするために、地元のクリニックの協力を得ようと、クリニック探しをすることがあるのだそうです。ところがかなりの確率で断られてしまうのだそうです。その理由をピックアップしていただきました。(それぞれの項目をクリックすると、コメントが読めます)

ただ、よく考えれば、短い電話だけではよくわからない、とりあえず断っておこうということなのかもしれません。でも、このサイトを参考にしてどんなことを依頼したいのかがわかりやすくなるのでは、と、思います。

私たちからも、がんセンターにお願いしたことがらもあります。(それぞれの項目をクリックすると、コメントが読めます)

もし、先生の地域の患者さんが、このような治療を必要としたときに、がんセンターからご連絡をすればお話を聞いていただけますでしょうか。

お忙しいところ恐縮ですが、こちらのアンケートにお答えいただければありがたいと思います。アンケートに入力した内容は、国立がん研究センター・小児腫瘍科にも情報としてお送りさせていただきますが、リストとしてホームページで公開するというようなことではありません。将来的に情報をオープンにして活用するニーズがでてきたときには、あらためておうかがいさせていただきます。なお、このプロジェクトを研究に発展させるために、アンケートにお答えいただいた先生に、再度同様なアンケートを改めてお願いすることもあることがありますが、そのときはどうかご協力ください。